No.448:めんどくさい・・・その言葉が出たら、チャンス到来の予感!?

№448:めんどくさい・・・その言葉が出たら、チャンス到来の予感!?

春の夏日に、ネットビジネスを展開するH社長が相談に来られました。事業内容をお聴きし、私は、率直に質問をしました。
「なぜ、このビジネスを他社はやらないのですか?」
 
H社長は、少し考え答えました。
「いえ、解りません。しかし、本当に競合がいないのです。」
 
その言葉が、更に私の興味を誘います。
それから、30分後、そこには大きな発見がありました。
 
私は、感想を言います。
「社長、面倒なビジネスをやっていますね。」
H社長は訊きました。
「先生、このビジネスは、ダメですか?」
私は答えます。
「いいえ、最高です。」


『クリエイティヴを無くしてから、クリエイティヴに取り組む』
この順番が重要です。
 
私は、常々「事業にクリエイティヴがあってはいけない」とお伝えさせて頂いております。
クリエイティヴがあれば、並みの社員でサービスを提供したり、作り出したりすることができなくなります。また、その分だけ、人材育成に時間がかかり、スピードある事業展開ができなくなります。
 
しかし、クリエイティヴが、全くゼロで良いかと言うと、そうでもありません。
クリエイティヴが無いとは、ビジネスが次の状態にあることを意味します。
「参入がしやすい」、「拡大している市場では、完全なスピード勝負」(または「衰退しきった市場」)。
 
そのため、クリエイティヴがあっても良いのです。
それどころか、我々のような資源力(金・人・規模)のない中小企業には、ある程度クリエイティヴが必要となる市場の方が良いのです。その方が、その市場をとり、守りやすいのです。
 
「クリエイティヴがあってはいけない」という言葉を正しく理解する必要があります。
「フレームの無いクリエイティヴがダメ」と言っているのです。
顧客は誰でもよく、商品は何でも取り扱ってよい、という「フレームが無い」状態が悪いのです。社員はフレームが無い状態では、その力を発揮できないのです。
 
そのフレームを作った上で、すなわち、「このようなお客様に、このようなサービスを提供する」という形に絞れた上で、残ったクリエイティヴに取り組むのです。
 
営業担当が、お客様に提案し契約を取る。
製作担当者が、外注業者と協力して商品を作り上げる。
そこに取り組むことになります。(いままでと違うのは、フレームの有無なのです。)
 
そのクリエイティヴに取り組むことを、多くの企業は「躊躇」します。
フレームがあり、随分クリエイティヴが下げられたとしても、そこには、それなりのクリエイティヴが残っているのです。企画・提案・臨機応変などが残っているのです。
 
そこに向かう必要があります。
簡単に諦めてはいけません。また、間違っても「人」に向かってはいけません。
そこには、それを望む見込客が多くおり、大きな市場があることは解っているのです。そして、それを仕組化出来れば、自社の強みにすることができます。
 
 
冒頭のH社も、そのクリエイティヴで、今日まで伸びていました。
当社のホームページから相談会の申込があった時に、H社のビジネスを見て、私は思いました。「なぜこのビジネスを、他社がやらないのだろうか?」
 
H社のビジネスは、ある業界向きのマッチングサイトです。この事業モデルに、それほどの斬新さは無いように見えます。他社のパクリや参入も多く有っておかしくありません。
 
実際に面談し、お話を聞くと、その謎が解けました。
一つの業務にかなりのクリエイティヴが必要となるのです。その業務をこなすためには、商品知識はもちろんのこと、業界の慣習やその中での商談の進め方など、かなりの力が必要なのです。
 
私は、その発見の喜びから感想を言いました。
「面倒な事をされていますね。」(笑)
 
H社長は、それが創業当時から当然のこととしてやってきただけに、矢田のその反応に困惑しています。
「先生、このビジネスは、ダメですかね?」
 
私は答えました。
「いいえ、最高です。これが、他社が参入しない、いえ、できない理由なのです。」
そして、取引件数が増えている理由なのです。
 
しかし、当然、そのための問題も抱えていました。
退職率がかなり高いのです。昨年も3名採用して、3名とも退職という状態です。
彼らに、H社長がやっていることの一部を担ってもらおうとするものの、出来ないのです。
そして、彼らは、仕事を覚える前に辞めていってしまいました。
その結果、H社長は更にそのクリエイティヴな業務を抱えることになっていました。
 
そのため、H社は、成長を止めることを余儀なくされていました。
このサービスを必要としている会社は多くいることが解っています。しかし、広告を止めざるを得ないのです。新規を増やせば、混乱が拡がること、そして、自分が更に忙しくなることは目に見えています。
 
この瞬間まで、H社長は、自分のやっていることにそれほどクリエイティヴがあるとは、思ってもいませんでした。自覚の無いクリエイティヴが、社員を潰してきたのです。
また、自社のそのクリエイティヴこそが、勝てる理由であることを初めて自覚することになったのです。
 
これから、この面倒なことの仕組化に向かうことになります。
このクリエイティヴを仕組化できれば、社員を増やし、遠慮なく売上げを伸ばすことができます。「クリエイティヴな業務を仕組化する」それは、簡単ではありませんが、やり方を知れば十分に可能です。まして、整理されたフレームのある状態であれば猶更です。
本気で取り組むだけの見返りは約束されているのです。
 
私は、H社長にお伝えしました。
「半年後には、また、成長軌道に入ることができますよ。」と。
 
H社長は答えました。
「はい、がんばります。」と。
 
面倒を理由に、事業を諦めてはいけません。
面倒であるほどお客様は喜びます。面倒であるほど競合はいなくなります。
面倒をやらない理由にしないでください。
 
面倒こそがチャンスなのです。

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