No.538:社長は社内の全てにイメージをつくれ。そして、ブランディングでトコトン強化せよ。

先週、クライアントを集めた一年で最も大きなイベントを開催しました。
そこでは経営の原則と私の理論を振り返ります。
その懇親会の場で、A社長が言いました。
「いま年商5億円ですが、年商10億まで行くイメージは持てています。」
テーブルを囲んだ他の社長たちも力強く頷きます。
続いてB社長も言われました。
「私は、良い会社というもののイメージが明確にあり、それを実践できていると思います。」
これには、周囲の社長たちからも感心の声が上がりました。
社長は社内の全ての「イメージ」をつくれ
社長は、社内のすべてのイメージを設計しなければなりません。
・社員の態度:当社の社員はどうあるべきか。
・営業の姿勢:「コンサルティング型」か「提案型」か、など。
・管理者の役割:管理の対象、日々の業務と部下指導の在り方。
そして
・自社のサービス:どこに特色があり、どう素晴らしいのか。
これらすべてのイメージを、社長はつくらなければなりません。
そして、これらを彼らと共有しなければなりません。
そのためには、まずはそれを文字にすることです。そして、それを色々な手法で伝えていくことです。経営計画手帳や発表会、人事評価、朝礼など、手を変え品を変え伝えていきます。
イメージを自由にさせてはいけません。
会社のイメージは、放っておくとバラバラになります。
それぞれが違う個性を持ち、別々の人生を歩んできたのです。自然にイメージが合うことなどありません。
顧客にもイメージを届けよ、それがブランディング
その対象は社内だけではありません。社外にもイメージを意図的に発信していく必要があります。まずは、その対象者にどのようなイメージを持ってもらいたいかを決定します。
・顧客に対して
当社はどのような姿勢を持ち、どんな貢献をする会社なのか。
・求職者に対して
どんな社風で、どのような働き方が出来、成長機会があるのか。
・取引会社に対して
どのようなパートナーシップを求め、どのようなスピード感・距離感で付き合うのか。
ここでもそれを文章化します。
ブランディングとは「強化」である
ここで重要なことは、ブランディングとは「強化」であるということです。
単にオシャレなロゴやデザインを作ることではありません。
「ブランディング(Brandr)」の語源は、古ノルド語で「焼き印をつける」ことにあります。つまり、あるイメージを徹底的に焼き付け、強化する。これが本来の意味です。
ブランディングは偶然に任せるものではありません。
意図して作り、意図して伝え、意図して強化していくものなのです。
くどい様ですが、オシャレなロゴやデザインでは無いのです。
そこには、強烈なポリシーがあり、一貫性があるのです。
会社のイメージを発信する手段
具体的には、次のツールを使って会社のイメージを発信します。
ホームページとは、「当社はどのようなサービスを提供し、こんな貢献をする」というイメージを顧客に持ってもらうための場です。これが第一です。
求人媒体とは、求職者に向けて「当社がどんな会社であり、どのような人材を求め、どんな働き方ができるか」を正しく伝えるためのツールです。
営業資料には、商品の特徴やベネフィットだけでなく、会社のビジョンやサービスの理念が載っています。理念から商品までの一貫性が解るのです。
新入社員用のテキストは、「新たに加わる仲間に、会社のイメージ・価値観を明確に伝える」ためのツールです。そこに余計な化粧はありません。
だから、社長はすべてのマーケティング・ブランディングに関わる必要があるのです。
「社内の全ての物のイメージを決めること」これも社長の重要な仕事の一つです。
もしそこにズレがある様なら、はっきりNOと言わなければなりません。
マーケティング、ブランディングは、どんなに会社が大きくなろうとも社長の直轄の業務になります。
年商数億円の会社に足りないもの
年商数億円規模の会社には、こうしたイメージが殆どありません。
・自社がどのようなサービス・商品を提供するのか。そこに品質の基準は当然ありません。それどころかメニューもないことも。
・組織とはどのようなものなのか。PDCAサイクルというものの、それが何なのか誰も解っていないのです。
・社長以下、横一線の文鎮型組織であるために、管理者が現れません。少し優秀な社員を管理者に任命しても、管理者として機能することはありません。
そこには「イメージが無い」のです。そのため、そうなっていかないのです。
また、その「イメージが間違っている」ことも多々あります。そして、それ以上に「どうそれを作っていくのかのイメージが持てない」のです。
それでは実行できるはずが無いのです。
その結果、その取組みの方向性は定まらず、動きの一貫性もなく、成長も伸び悩むことに成っているのです。
昨日のイベントの懇親会
A社長は「10億までの道がイメージできる」と言われました。これは驚くべき発言であり、その達成は間違いないでしょう。
B社長は「良い会社のイメージが明確で実践できている」と言われました。これも素晴らしいことです。機能的な組織運営ができ、社員が活躍することができます。
そして、C社長は、「良い社長というイメージが、自分の中に持てています。」と言われました。社長の役目をしっかり正しく理解されているのです。そして、それを実践できているのです。
社長は欠けるイメージを早急に獲得すべき
正しいイメージを持てば、年商10億円に進むことができます。
正しいイメージを創れれば、良い会社、高収益な会社にすることができます。
正しいイメージを描ければ、管理者が機能し、組織で稼ぐ会社にすることができます。
未来は、社長自身が描いたイメージによって決まるのです。
そして、それをブランディング、すなわち発信強化することで、周りを更にその渦に巻き込むのです。顧客、社員、取引先、彼らは、社長のイメージに更に引き寄せられ、その動きを強めていきます。
この世界の中心には、自分がある。
それを、忘れてはなりません。
今自社に欠けるイメージを獲得するのです。
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矢田 祐二

理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
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