No.576:決めたことを社員が勝手にやめてしまう、そんな時の正しい社長の発想とは?

№576:決めたことを社員が勝手にやめてしまう、そんな時の正しい社長の発想とは?

旅行業を営むU社長が、こう言われました。
「決まっていることを、社員が勝手にやめてしまうのです。」
ここ数か月、U社の業績は芳しくありません。社長の言葉にも、焦りと苛立ちがにじんでいました。
 
多くの社長は、ここで社員を疑います。
「守る意識がない」

「言われたことを軽く考えている」
 
こんなときも私は、まずは“仕組み”を確認します。
「それ、決まっていますか?」

社員がやらないときに確認する順番


社員がやらないとき、確認するべきことは次の4つです。
また、この順番になります。
 
1.決まっているか
決まっていないことは、守りようがありません。
ここで言う「決まっている」とは、文章になっているということです。
この問いの答えがYESなら、次に進めます。
 
2.知っているか
知っていなければ、できるはずがありません。
中小企業では、マニュアルも訓練プログラムも未整備であることが多いのです。
本人に伝わっていない可能性は、十分にあります。

3.過去にできたことがあるか
「その社員は、過去に実際にやっていたか」。
多くの場合、そもそも一度もやったことがない。できた経験がないのです。
それを「続かない」「やめた」と評価しても、筋が違います。
 
そして、「過去にやっていた。でも今はやめている」
この場合でも、短絡的に「本人の怠慢」と決めつけてはいけません。

4.では、やめた理由は何か
やめたにはそれなりの理由があるかもしれません。
「無駄がある」「意図を満たしていない」「面倒すぎる」「現場条件に合っていない」など、納得できない要因があるものです。
その理由を確認し、改善を行います。

「続く前提」で設計する


この四段階で考えると見えてきます。
「社員がやめてしまう」には、必ず仕組みに不備があるということです。
そこに向かわなければ、同じことが必ず繰り返されます。
 
この説明をするとU社長は、少し考えてから、こう続けました。
「……確かに。結局うちは仕組化できていないんですね。」
 
その通りです。
問題は、社員が勝手にやめたことではありません。
「続く前提」で設計されていないことにあります。
 
仕組化とは、「守る気持ち」を期待することではありません。
「やめられない構造」をつくるということです。
向かう先が間違っているのです。

根本原因:社長が「人」に向かってしまう


では、その根本はどこにあるのか。
仕組みに向かわず、『人に向かってしまうその社長の発想』にあります。

この発想が変えられなければ、何も変わらず、何も積みあがらず、何度でも同じ現象が起きます。
 
決める。伝える。
できるまで確認する。
崩れたら理由を確認する。その上で直す。

どこまで行っても「仕組みの発想」なのです。

“社長次第”の本当の意味


中小企業は社長次第です。
社長が諦めれば、社員もやめます。
社長が諦めずに続ければ、社員は続けます。
 
ただし、ここで勘違いしてはいけません。
社長が諦めるのは、「言い続けること」ではありません。
それは結局、「人に向かっていること」になります。
 
この時、社長が諦めないのは「仕組みづくり」です。
「社員が勝手にやめてしまう」現象が起きた時には、どんな仕組みをつくるのか、なんの仕組みが悪いのか、それを追い続けるのです。
 
人に向かわないでください、
仕組みに向かうのです。
社長次第というのは、そういう意味です。
 
 
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矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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